初めて就職をする方、現在の会社に不満があって転職を考えている方に向け、今回は「就業先の選び方・条件の種類」をまとめました。
企業選びの際に雇用条件などをなんとなくで見ていると、入社後に残業の量がとんでもなかった事に気がついたり、サポートが成っていなかったり、ハラスメントが野放しになっていて離職率がとても高い職場だったりすることがあります。
雇用の条件やその種類について知っておくことは、より良い企業を探すという目的以前に、「就職する自分を守る」という目的もあります。
勤続年数が短かったり、転職回数が多かったりすると、どんどん選べる企業は減っていきます。それを事前に防ぐためにも、就業先は慎重に選びましょう。
そう思うのは、私自身が
「自分は経歴が惨憺たるものだから、選ぶ権利なんてない!」
と思い込んで、「なんでもやります」の精神で入社して後悔したためです。自暴自棄になる前に、もっと自分を信じてホワイト企業を探し、求人に応募するだけでもしてみれば良かったと思った時には勤続年数1年足らずで転職2回になっていました。
生活するには働くことが必要不可欠ですが、そのために焦りすぎて条件を下げ過ぎるのはおすすめしません。下げて就職できたとしても、そこがブラック企業で長く働くことができなくて転職を繰り返すと、どんどん社会的に信用を失うことになります。
最悪な場合、精神を病んでしまったりすると、回復にも時間がかかります。
条件を下げなくてはいけない時もいつか来るかも知れませんが、その時が来るまでは少しでも長く働けるような良い環境の整った会社を見極めて応募していきましょう。
就業先の条件の種類・選び方
よし、就職をしよう、と思ってみても、就職できるならどこでも良いというわけではありません。きちんと自分に合った会社を選ばないことには、長く働き続けることができず、結果として周囲に迷惑を掛けたり、自分も損をしたりすることになりかねません。
そこで就業先の条件をきちんと決める必要があります。
どんな条件があるのか、まずは一覧を見ていきましょう。
就業先を選ぶ際に気をつける条件
- 仕事内容
- 収入
- 就業環境・雇用形態・働き方
- 休日休暇・勤務時間
- 福利厚生
- 会社組織・経営方針
今回は以上の6つの項目に分けて、それぞれ説明していきます。
仕事内容に関する条件
まずは仕事内容に関する条件の例がこちらです。
- 経験を活かせる
- 経験を積める
- 職種
- 業種
- 開発・研究環境
- 資格を活かせる
これはシンプルですね。
自分がこれまでにやってきた仕事内容であったり、資格であったり、語学であったり、そういった強みを活かせるかどうかという点になります。
また、全く新しい業界にチャレンジするという方であれば、経験をきちんと積むことができるか、という点にも注目したいですね。
やったことないけど、プログラミングとか興味あるんだよね。未経験でもできるかなぁ?
未経験でもOKな場合には、サポート体制とか研修制度も要チェックだね。また、未経験OKな会社は離職率が高くて欠員補充に必死な可能性もあるので、口コミとかもよくチェックしてみよう。
収入に関する条件
就業先選びのなかでも、特に気にされがちな収入に関する条件はこちら。
- 年収
- 月収
- 賞与
- 特別手当がある
- インセンティブ制度がある
確かに、月収は大切だよね。あれ、でも賞与って、どこの会社でも出るものじゃないの?
それが違うんだ。賞与の金額や回数は、会社が自由に決めていいことになっているから、次のような違いがあるよ。ちょっと見てみようか。
賞与の支給回数について
- 夏と冬の2回
- 年度末に1回
- 支給回数3回以上
- 不支給
え、不支給の会社もあるの?つらすぎる…。この中なら絶対3回以上支給の所がいいなぁ。
それがそんなこともないんだよ。ボーナスの回数が多くても月収が低かったり、ボーナスはなくても月収が高かったりするから、その会社の平均年収とかをよく調べてみると良いかもね。
そうなんだ。じゃあ同じ業種で、同じくらいの会社の規模だった場合には、どっこいどっこいだったりするのかなぁ。月収を取るか、ボーナスを取るか…。
ボーナスに関してはおすすめの記事があるので、気になる方はそちらを見てみてね。
ボーナスに関するおすすめ記事はこちらから。( 左にある青文字の「こちら」をタップされますと、マイナビのサイトに飛びます)
ちなみに特別手当と賞与はどちらも「定期給与と別に労働の対価として支給されるもの」という定義になっていて、ほぼ同意義で扱われるよ。
また、ボーナスに関しては今ご紹介した以外にも「支給額」「支給率の決め方」「回数による違い」など、おすすめの記事があるのでそちらをご覧ください。
おすすめの記事(「カオナビ人事用語集」というサイトに飛びます)
就業環境・雇用形態・働き方に関する条件
最近はフレックスタイム制やテレワークなど、様々な働き方がありますよね。それもまた大事な条件になってきます。
- 勤務地
- 転勤がない
- 通勤手段(電車・車)
- 雇用形態(正社員・契約社員)
- フレックス勤務ができる
- 時短勤務ができる
- 副業ができる
- テレワークができる
勤務地は現在の住まいから通いやすいかどうか。結婚を控えている方などであれば、転勤の有無も気になりますよね。また会社によっては車での通勤ができない所もあります。
なるほどねぇ、色々あるんだね。あれ、フレックス勤務ってどういう働き方を言うんだっけ。
簡単に言うと、出勤時間と退勤時間を個人の自由に決められる働き方のことだよ。例えば、会社の始業時刻帯が6:00〜11:00ならその間のどの時間に出勤しても大丈夫っていうことだよ。
え、めっちゃ良いね。通勤ラッシュとかを避けることもできるんだ。それに私、朝起きるの苦手だから遅くしたいなぁ。
フレックスタイム制のメリットとかデメリットはこちらのサイトがおすすめ。おすすめ記事(type転職エージェントのサイトに飛びます)
休日休暇・勤務時間に関する条件
続いて「休日休暇・勤務時間」に関する条件。
ここも給与と同じくらい重要視される方は多いのではないでしょうか。
日本の企業の平均休暇日数などと併せてご紹介していきます。
- 休日(土日祝日に休み、平日休み)
- 年間の休暇日数
- 連日休暇が取れるか
- 定時退社ができるか
- 平均残業時間
まず、労働時間に関して労働基準法に定められている文言がこちら
「法定休日は少なくとも週に1日。または4週を通して4回以上」「労働時間の上限は週40時間」
これを元に、企業が確保すべき年間の最低休日日数を算出すると「105日」となります。ただし、これはあくまで1日の稼働時間が8時間とした場合なので、7時間であった場合には「67日」となります。
夏季休暇や年末年始休暇も、会社が就業規則で「公休」と定めていれば、年間休日日数に含まれます。
有給は同じ会社に勤めていても個人差があるため、年間休日日数には含まれません。
へぇ、求人とかでよく120日以上みたいなの見かけるけど、あれって多いんだねぇ
年間120日って書かれているものは、基本カレンダー通りに休みになる会社だね。企業の規模によっても変わってくるみたいで、ちょっと次の表を見てみよう。
こちらは厚生労働省が実施した「令和2年就労条件総合調査」の内容です。
従業員数 | 平均年間休日数 |
1000人以上 | 116.6日 |
300〜999人 | 114.9日 |
100〜299人 | 113日 |
30〜90人 | 108日 |
この表からわかるように、大きい企業の方が休日日数は多くなっているよ。また基本的に、休日祝日出勤の少ない業種の方が年間の休日は多い傾向があるので、参考にしてみてね。
そっかぁ。じゃあサービス業をしている人とかは休みも少ないんだろうねぇ。その上残業とかまで多かったらと思うと…
ある民間企業の行った調査によると残業時間が30%以下と答えた人は全体の25%程度だったそうだよ。
えっ、みんなそんなに残業してるの?
ただ法律で定められているのは月間で45時間までだから、それを超えるようであれば、残業の少ない会社に転職したり、労働基準監督署に相談したりした方が良いかもしれないね。
参考にした記事を以下に貼り付けておくので、興味のある方はご覧ください。
福利厚生に関する条件
給与や年間休日数に次いで重要視される方の多い福利厚生。従業員とその家族を対象にした報酬のことを指しています。正社員はもちろん、正社員と業務内容が変わらない非正規社員でも加入することは可能です。
- 社会保険(雇用保険・労災保険・健康保険・介護保険・厚生年金保険)がある
- 退職金制度がある
- 年金制度がある(企業年金、確定拠出など)
- 住宅手当・社宅・家賃補助がある
- 交通費が支給される
- 育児・託児・介護支援制度がある
- 健康診断や人間ドックの受信料
- 従業員持ち株会制度がある
赤字のものは「法定福利」と言って、法律で企業が負担することが義務になっているものなので、もしなければ違法ということになります。
赤字以外は「法定外福利」というもので、企業が「法定福利」にプラスアルファで決めているものです。
福利厚生って、ジムの利用割引券とか、飲み物飲み放題とか、無料の社食とかあるやつだよね!
そうそう。それは法定外福利って言って、企業がオリジナリティを出すためにつけている福利厚生だね。最近は面白い福利厚生がたくさん登場しているよ。ヲタ活のために有給取得をすることができて尚且ヲタ活費用を幾らか出してくれる会社とか、11ヶ月働くと1ヶ月丸々休める会社とかも出てきているよ。
なにそれ!素敵すぎる…。もし私が優秀な人材ならそんな会社に行きたいわぁ。
調べてみると、本当に色々な福利厚生が登場していますね。ユニークな福利厚生については、こちらの記事を参照しました。(青文字の「こちら」をタップしてください)
他にも次の記事を参考にしました。
昇給、昇進、異動に関する条件
長く働くとなると気になってくるのがこの「昇給、昇進、異動」に関する条件ですよね。
- 評価制度が明文化されている
- 教育研修制度がある
- ジョブローテーションがある
- 異動希望の制度がある
まず「評価制度」とは、従業員の能力や会社への貢献を評価するための制度です。
評価制度は、多くの会社で「等級制度」や「報酬制度」と連動しており、ここの評価が高いと役職などが上がって給与アップにも繋がります。
また一言に「評価制度」と言っても種類は幾つかあり、代表的なのは3つ。
- MBO(目標管理)…ピーター・ドラッカーの提唱した評価制度で、目標を設定し、その目標に向かってどこまで達成できたかで評価をするもの。社員一人ひとりに目標をもたせることで、企業全体の目標を達成していこうというものです。
- コンピテンシー評価…社員のもともとの資質ではなく、実際の行動がどのような結果を生み出したか、という事実を客観的に評価するもの。行動特性を重視するものです。
- 360度評価…ひとりの従業員に対して、複数人の上司で評価を行う方式。複数人で客観的に見ることで、偏りをなくすことのできる評価制度です。
会社によって評価制度も違うので、気になる方は聞いてみると良いでしょう。
続いて、教育研修制度ですが、これには次のようなものがあります。
- 新入社員研修
- コンプライアンス研修
- 新人教育担当者(OJT)研修
- メンター研修
- グローバル人材育成
- マネジメント研修
研修制度が充実していることをアピールしている企業も多いですよね。研修制度について詳しい記事はこちらがおすすめです。
わぁ〜なんか色々あるんだね。そして、ジョブローテーションってなに?初めて聞いた!
ジョブローテーションっていうのは、社員の能力向上を目的に定期的に部署異動をさせることでいろいろな業務をさせることだよ。「幹部候補の育成を、徹底的に行う」とか、明確な目的を持って戦略的に、幅広い業務を経験させたりするよ。
へぇ。やっぱり実際に自分が当事者になってみないとわからない事ってあるから、色んな視点を持てるって考えると良いね。でも大変そう。
色んな業務を経験できることで、自分に向いている仕事がわかるのも良いよね。ただ、専門的な技術が身につかなかったり、ひとつの環境に慣れたと思ったら、別の新しい環境に行かされたりするストレスもあって社員の早期退職につながってしまうこともあるみたいで、最近は廃止されている会社も多いみたいだね。
色んな経験をして多角的な視点を持てるようになりたいか、ひとつのことを突き詰めたいかで選ぶと良いかもしれないね。
会社組織・経営方針に関する条件
会社選びの際、最後の決定打になるのは、やはり社風や、経営理念ではないでしょうか。
その他の条件が揃っていても、その会社に馴染めなかったらどうしようもないですよね。
- 上場企業/非上場企業
- 外資系
- 社員数
- 社員の定着率が高い
- 管理職、役員の男女比率
- 経営方針、経営理念に共感できるか
- 社風
- 技術力・商品力が高い
まず「上場企業/非上場企業」の違いですが、「証券取引所で株式を自由に買うことができる企業」を上場企業と言います。上場することで、投資家の人たちが自由にその企業の株式を購入できることになるので、企業は資金を調達しやすくなります。簡単に上場企業/非上場企業の違いを表にしました。
上場企業 | 非上場企業 |
・株式を公開している ・証券取引所で株式が買える ・株式の所有は主に投資家 ・経営:株主の意見に左右される ・株式公開:資金を集めやすい ・株式公開:買収のリスクがある | ・株式を公開していない ・証券取引所で株式を買えない ・株式の所有は主に創業者や関連会社 ・経営:株式に左右されない ・株式非公開:資金を集めにくい ・株式非公開:買収のリスクがない |
上場企業は日本において0.1%と、ごくわずかです。上場企業で働くメリットとしては、倒産リスクが少ないと判断されやすいことや、平均年収の高さ、大きなプロジェクトに関われることなどがあります。
上場企業/非上場企業の違いなどについて、もっと詳しく知りたいという方にはこちらのサイトがおすすめです。参考サイト①
色々と考えるべき項目が多いねぇ。でも確かに離職率は、その会社の働きやすさに関係してくる気がするから気になるなぁ。どうやって見分けたら良いんだろう。
色々言われているけれど、「口コミ」を調べてみることと、「残業」に対する考え方をホームページから読み取る必要がある。あとは「企業理念がなさすぎる」会社は欠員の補充に必死になっていたりする可能性もあるので、その辺りも要チェックしよう。
なるほど…。でもそんなにホームページから読み取れるものかな?
あくまで傾向だけれど、「仕事のやりがい」を主張する会社は「やりがい搾取」の傾向が強いことがあったり、固定給のほかにきちんと「残業手当100%支給」と明記されているかどうかのチェックをすると良いよ。あとは、ブログをやっている会社などだと、「社長がお酒好きなので月1回社員みんなで仲良く飲んでいます」などある場合、明るい社風と捉える人もいるけれど、ワンマン社長で社長の言うことは絶対な雰囲気がある可能性もある。社員の声が通る会社かどうか、そういった所から疑ってみても良い。
ひぇえ、職場探しってやっぱり難しい〜。
離職率の高い職場の見分け方の詳しい記事はこちらがおすすめです。
ホワイト企業の選び方
やはり働くならホワイト企業が良いですよね。そこでホワイト企業の特徴をまとめました。
- 従業員にとって良好な環境が用意されている
- 待遇面の差別がなかったり、福利厚生が充実している
- 休暇を取りやすい
- 業務量が適切
- 離職率が低い
- 人事評価が正当
- 残業代が出る
- 女性も働きやすい
- ハラスメント対策ができている
続いて、ホワイト企業の賢い見つけ方はこちらです。
- 「ホワイトリスト500」から見つける
- 厚労省が認めた優良企業から見つける
- 「就職四季報」から見つける
- 口コミサイトを見る
- エージェントを利用する
- 時間外労働が月平均30時間以内か
- 実際に夜遅くに会社へ行ってみる
- 福利厚生が充実しているか
ふと文字に黄色い線になっている「ホワイトリスト500」と「就職四季報」についてまずお話します。
「ホワイトリスト500」というのは、東洋経済オンラインが発表した、定着率が高い企業のランキングです。全国の平均は31%程度なのに対して、ここにランクインした企業は定着率が87%〜100%の優良企業。
続いて「就職四季報」というのは、東洋経済社が制作しているもので企業5,000社の有益な情報(年収、離職率、有給取得率など)が1冊に収まっています。企業から掲載料などをもらわず中立的な立場で制作している事もあって、信頼性は高いですね。
また厚労省が優良企業と認めている企業の中から探すのもおすすめです。子育てサポートが充実している企業や、女性に働きやすい企業など、その傾向によって授与されているシンボルマークなどは違います。
なるほど。そうやって調べることもできるんだね。でも夜遅くに会社に行ってみるっていうのはどういう事?
夜遅くに行っても、建物のほとんどに電気がついていたりしたら、ブラックな可能性が高い。あとは電話を掛けてみるのもおすすめ。電話受付は会社の顔。ホワイト企業なら、ちゃんとした人が応対してくれるはず。
なるほど!実際に足を運んでみることで分かることもあるよね。
ホワイト企業の見分け方に関して、詳しく興味のある方はこちらのサイトがおすすめです。
最後に
ここまで就業先の選び方・条件の種類をお話してきました。内容を詰め込みすぎてしまったので、読み疲れた方もいるのではないでしょうか。
自分に合う会社で働けることができたら幸せ。
だからといってそのために転職を繰り返すことになったりすると、やはり印象は良くないので、少しでも長く勤められる会社を慎重に選ぶ必要がある。
もちろん身の丈に合った会社を選ぶ必要があるけれど、その上で少しでも働きやすい会社を見つけよう。
長く働くためにも慎重に選ばないとね!私も焦らず就活頑張ろう!
うん、急がば回れだ!人生はやり直しがきかないから、きちんと自分の行く先は丁寧に、計画的に選んでいこう。たとえ後で転職をすることになった時にも、堂々と「こういう理由で就職しました」と言えた方が有利だからね!
そっか!更に次の転職のことまで考えて就活するのも大事だね。
よぉおし、頑張るぞぉ〜〜〜!
良い環境に恵まれると良いね。お祈りしておくね。
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